COLUMNコラム

肥料の正しい与え方

2018.08.16

オフィスや自宅で育てている植物の管理で水やりの次に質問の多い肥料について。どのタイミングでどのくらいあげればよいのか紹介していきます。そもそも、植物になぜ肥料が必要なんでしょうか。よくわからないけど鉢植えなら当然必要と肥料をあげ続けている方はいませんか。

植物は自ら動くことができないので、生長するための養分は光合成でつくっています。光合成は、二酸化炭素と水から光エネルギーを利用して、酸素と炭水化物をつくります。しかし、光合成だけでは生育に必要な養分を作り出するのには限界があります。その他の必要な養分は土から根を通して吸収されています。ただ、土によって栄養バランスは様々ですので必要な養分が不足しないよう補給してあげることが大切です。生長に応じて肥料を与えることで長く元気に育てることができます。

 

肥料を与える前に葉の様子をチェックしましょう

植物に元気がないときは何が原因かチェックしてから対処しましょう。

【チェックポイント】

葉の様子を見てみましょう。

●垂れ下がっている…水切れor根腐れの可能性があります。植物の種類によりますが葉がペラペラになりお浸しのように元気がないときは水切れの可能性が。水をたっぷりあげることで復活する場合があります。根腐れの場合は土が表面まで湿っていて悪臭がする場合があります。鉢底に水が溜まっていませんか。鉢から抜いて根が黒く腐っていたら取り除いて新しい土で植え替えてあげましょう。

●黄色ががっている・・・水やりもしていて全体的に葉が黄色くなってきている場合は根詰まりの可能性があります。土の表面や鉢底から根が見えていたり、水をやってもすぐに鉢底から流れ出てくる場合は鉢いっぱいに根が回っているかもしれません。一回り大きな鉢に植え変えてあげてください。

●葉っぱがポロポロ落ちる・・・エアコンや空調が直接あたっている、薄暗いなど環境にあわずに葉を落としている可能性もあります。上記はよくある植物の元気がなくなる原因なのですが、根詰まりしている時は鉢が根でいっぱいになっているため土がすくなく養分を十分に取れていない可能性が高いです。そのため葉色が悪くなったり、形状の悪い葉が出てきたりする場合があります。肥料を与える植物は基本的に元気に育つ生育環境にあることが前提になりますので与える前に植物の状態をチェックしてみてください。

 

おすすめの施肥方法

観葉植物は葉を美しく見せるために、N(窒素)が多い配合の肥料が観葉植物用で販売されていることが多いですが、先にも述べたように肥料をあげる条件として、日当たりなど植物が置かれている環境が良いことが前提になります。日光が当たるような明るい場所であれば問題ないのですが、オフィスの蛍光灯下で育った植木や、会議室など普段暗い場所で育てている植木には肥料の量が多過ぎる場合があります。

肥料を与えすぎると、徒長(弱い性質のまま伸びてしまうこと)の原因や、花を鑑賞したい観葉植物(アンスリウムやスパティフィラムなど)では花が付きにくくなってしまいます。そのため、例えば固形肥料で規定の量が5粒のところを3粒にするなど、気持ち少なめに与える方が失敗がありません。

もっと詳しく!肥料のこと

植物の生育に必要な要素は16種類といわれています。その中で「P-N-K」が三大要素と呼ばれています。

●P(リン酸):花つきや実つきをよくする

●N(窒素):葉や茎を大きく育てる

●K(カリウム):値の発達を促進し、茎や葉を丈夫にする

という役割があります。

三大要素は植物の成長に多くの量が必要で、吸収量が多く不足しがちな要素です。

さらに三大要素に

●Ca(カルシウム):細胞と細胞を強固に結びつけ正常な育成を助ける、根の育成に重要な要素。

●Mg(マグネシウム):葉緑素の重要な要素で光合成に必要な要素。

を加えて五大要素になります。

残りの11種類は、炭素、水素、酸素、マンガン、硫黄、鉄、ホウ酸、亜鉛、モリブデン、銅、塩素です。炭素、水素、酸素は空気中や土の中から吸収されます。その他は、人のビタミン類に当たる要素で大量には必要ありませんが、生きる上で必要になってくる微量要素と呼ばれています。微量しか必要ありませんが、不足すると新芽や若い葉に表れやすく、葉が黄色く変色したり、変形やちぢれがおきることがあります。このように、栄養が不足すると植物を健康に長く育てることが難しくなります。

 

肥料の種類

ではどのような肥料を与えれば良いのでしょうか。植物の状態に合わせて種類を選ぶと効果的に植物を育てることができます。肥料には構成成分の他に効き方、形などによりさまざまな種類があります。速効性肥料か緩効性肥料のように肥料の効き方による違い、液肥か固形肥料の形状による違い、自然の動植物素材そのものやそれらをもとに発酵させ作られる有機質肥料か科学的に合成された化成肥料かの違いがあります。

市販されている化学肥料のほとんどが化成肥料です。有機肥料は牛糞・鶏糞・骨粉などからつくられ、土の中の微生物によって分解されたあと吸収されます。臭いもあるためオフィスではあまりおすすめしませんが、農作物や外の植栽向きの肥料です。室内の観葉植物に手軽に使えるものは、ホームセンターなどで販売されている化成肥料になります。色々なタイプがあり臭いが少ないためおすすめです。

肥料のタイプは大きく分けて液体の肥料と固形の肥料があります。液肥は生育期(多くの植物は5~9月)の水遣りの水に混ぜて与えるタイプで、最初から植物が吸収しやすいように肥料成分が溶かされて吸収されるので、野菜や花がつくような植物など集中して栄養を与えたい時に使用します。すぐに吸収されるので効き目はメーカーによりますが2週間前後で、継続的に使用する必要があります。固形肥料は土に混ぜ込んだり、置いたりして水遣りの水で徐々に溶けて吸収されます。そのため効き目は長くこちらもメーカーによりますが3~5ヶ月。高温多湿で固形肥料にカビが生えやすいので夏以外の季節でおすすめの肥料です。

まとめ

・肥料を与える前に植物の状態、環境を確認する・生育期(5~9月)に与える・用量を守り、気持ち少なめに与えることが肥料をあげるコツになります。上手に利用して植物を元気に育ててみましょう。